顎関節症
あごだけの問題にとどまらず、全身の不調にも関係する病気ですから、早急に治療を行うことがすすめられています。
こんな顎の不調や症状があれば顎関節症かも
- 口を動かしたときに音がする
- あごが痛い
- 口を大きく開けることができない
これらの症状は、顎関節症の代表的な症状です。この内1つ以上当てはまり、他の疾患がない場合は顎関節症の可能性があります。
顎関節症の原因
顎関節症の原因は、これまで噛み合わせの異常だと考えられてきました。しかし、最近ではそれ以外にもさまざまな原因があることが判明しています。
- ブラキシズム
- ストレス
- 偏咀嚼(へんそしゃく)
- 悪いクセ
- その他
歯を食いしばったり、歯ぎしりをしたりすることをブラキシズムといいますが、これらは顎関節症の大きな原因だといわれています。
ブラキシズムは、起きているときだけでなく、寝ているときにも無意識に行っている可能性があります。
もし、朝起きたときにあごが疲れていると感じることが多い場合は注意が必要です。
ブラキシズムと関係が深いのはストレスです。仕事や家庭に問題があると、精神や筋肉が緊張しブラキシズムを引き起こします。
左右のどちらか一方でいつも食べ物を噛んでいることを偏咀嚼といいます。一方に負担がかかるので顎関節症の原因になります。
うつ伏せに寝たり、頬杖をついたりするクセがあると、あごの骨に異常をきたすおそれがあります。
歯の治療をしたときに大きく口を開けすぎたり、スポーツや事故であごを強く打ち付けたりすることによっても起こる可能性があります。
顎関節症のタイプ
- Ⅰ型-筋肉の障害によって起こる
- Ⅱ型-関節包・靱帯の障害によって起こる
- Ⅲ型-関節円板の障害によって起こる
- Ⅳ型-変形性関節症によって起こる
筋肉がなんらかの原因によって緊張し、血液の循環が悪くなって痛みがでます。咀嚼筋(そしゃくきん)を中心に痛むので頬やこめかみが痛くなります。鈍い痛みなので、痛くなっている部分を特定しにくいのが特徴です。また、頭部・首・肩などに関連痛が起こります。
あご関節の関節包(かんせつほう)、靭帯(じんたい)といった繊維組織が損傷しています。あごを動かすと関節部分が痛くなります。
繊維の板である関節円板が前にずれたままになっています。口を開けたときに、カクカクとした音が鳴ります。症状が悪化すると、カクカクとした音はなくなりますが、関節円板が邪魔をして口を大きく開けることができません。
口を開け閉めしたときに、ゴリゴリ、ジャリジャリといった音がします。そのときに、周囲の炎症を伴う痛みがでるのも特徴です。これは、あごと頭蓋骨の関節部分である下顎頭の表面に新しい骨が作られて変形しているためです。骨の変形次第では無症状であったり、ある程度進行すると痛みが無くなったりすることもあります。
自分で出来る「顎関節症」テスト
あごに違和感があり、顎関節症かもという不安があるなら、次の簡単なチェックをしてみてください。
- チェック1:鏡を見ながらあごを大きくゆっくり開け、その後ゆっくりと閉じていきます。そのときの状態で以下に当てはまるものがないかを確かめてください。
- あごが左右に揺れている
- 左右で開けにくい方のあごがある
- 開けたり閉じたりするときに音がする
- あごに痛みを感じる
- チェック2:鏡を見ながらゆっくりと舌を出してみてください。次のような症状はありませんか?
- チェック3:口を閉じて左右の目のラインと口角のラインを比べてみてください。次のような症状はありませんか?
・舌がカーブして出ている
・広角のラインが並行ではない。
こうしたチェックで、1つでも当てはまる症状があれば顎関節症の可能性があります。
顎関節症は、痛みが出ていないと気づかないことも多く、慢性化しやすい病気です。
少しでも可能性があるときは、早めに専門家の診断を受けることをおすすめします。
顎関節症の治療方法
この中でも、咬合調整は慎重に行うべきであると考えられています。
なぜなら、歯を削ってしまうと元に戻すことができないからです。
顎関節症にはストレスや精神的な原因も影響しています。
それで、まずはストレスの解消や生活習慣の改善を中心にした治療を行い、改善するかどうか様子を見るという方法が用いられています。
顎関節症は、虫歯や歯周病のように放置するだけで進行していく病気ではありません。
症状やタイプによっても治療法が異なるので、自分に合った治療方法を知るためにも専門医を受診することが大切です。
また、個人でできる顎関節症治療としては、TCHを改善する方法があります。TCHとは、上下の歯を接触させるクセのことです。無意識で行っていることが多いのですが、意識的に改善することであごの筋肉の疲労を防げます。