虫歯の治療

虫歯のメカニズム

caries1
歯は、硬いエナメル質と、内側にあるやわらかい象牙質、さらに内側の歯髄でできています。
虫歯菌はエナメル質を徐々に溶かし、穴を開けて内側まで侵入していきます。
進行性の病気ですから、虫歯の原因について知り、毎日の生活で予防を心がけることが大切です。

虫歯の原因

一般的にお口の中には、300種類以上の細菌が数え切れないほど多くいるといわれています。食後しばらくすると歯の表面に白いものが見られると思いますが、これは「食べカス」ではなく歯垢です。この歯垢1mg中には一億匹以上もの細菌が存在し、その細菌が歯を溶かす酸を作り出します。

虫歯の進行

虫歯の進行は、細菌(ミュータンス菌など)が食べカスに含まれる糖分と結びつき、酸を作ることから始まります。
酸は歯の表面のエナメル質を溶かすだけでなく、さらに歯垢を歯に付着させ細菌の住処を作ります。
虫歯はこれを繰り返して、エナメル質から象牙質、そして歯髄(歯の神経)へと徐々に進行していくのです。

虫歯の治療法

早めに対処すれば簡単な処置・治療ですみますが、歯の神経まで虫歯が進行してしまうと神経を取る、最悪の場合は歯を抜く、などの処置を取らざるを得ない状況になることも。
そのため、早期発見・早期治療が何より大切です。ぐりーんうぉーく歯科では、虫歯の早期発見のための定期健診や予防のためのPMTCをおすすめしています。
歯が痛くなくても、違和感を覚えたらお気軽に来院いただければと思います。

高齢者の虫歯

虫歯というと、甘いものを多く摂取する方がなりやすいというイメージがありますが、実は高齢者の方のほうが虫歯になりやすい場合が多いのです。
その条件の多くは、一般的に「年齢とともに歯ぐきが下がり、歯の根の部分が露出してくる」ということ。歯の根の部分はエナメル質で覆われていないため外的要因の影響を受けやすく、また酸に対しても非常に弱いので、虫歯になりやすいのです。
そのため、若いころと同じようなケアでは、虫歯になってしまうのはこのためです。
もちろん、若い方でも歯周病などになると歯ぐきが下がり、同じように歯の根の部分が虫歯になりやすくなりますので、早めのケアが大切です。
ぐりーんうぉーく歯科では、お口の中の状態が悪くなる前の予防歯科をおすすめしています。

虫歯になってしまう3つの原因

  • 原因その1「食生活」
  • 虫歯になってしまった女性
    食生活は、虫歯の原因としてよく知られています。
    例えば、「甘いお菓子を食べたら虫歯になるよ」と子どもの頃に言われて育った人も多いのではないでしょうか。
    甘いお菓子に含まれる「糖分」は虫歯菌の栄養になるのですが、菌が糖分を食べて分解すると酸をだします。
    それが歯を溶かしていくのです。
    ですから、糖分を含むお菓子は虫歯になりやすいと言われてきました。

    しかし、糖分は決して甘いお菓子だけに含まれる成分ではありません。
    ふだん口にするさまざまな食物に含まれている成分です。
    ですから、虫歯を予防するために糖分を断つというのは現実的なことではありません。

    糖分による虫歯を予防するためにできることは、食べたら歯を磨くことです。
    食べかすが長時間口の中に存在することによって酸が発生しやすくなります。
    食べ物を口にした後は、歯磨きによってお口の中を清潔にしてあげましょう。
    また、食事のときはよく噛んで食べると、酸の働きを抑える唾液をたくさん分泌してくれます。
    食べたらすぐ歯を磨くことと、よく噛むことを意識してください。

  • 原因その2「ブラッシング不足」
  • 歯磨きしすぎ
    歯を毎日磨いていていても、すぐ虫歯になってしまう人とそうでない人がいます。
    一体この違いは何でしょうか。原因の1つには、ブラッシング不足が考えられます。
    十分に時間をかけて歯を磨いている人と、いつも忙しさのあまり短時間で終わらせてしまう人では、歯垢の取り残しに差が出てしまうのも無理はありません。

    時間だけでなく、ていねいさも大切です。
    歯と歯の間や、歯と歯ぐきの間には歯垢がたまりやすいのですが、歯ブラシだけではどうしても磨き残しができてしまいます。
    それで、歯磨きの際には、歯ブラシとともにデンタルフロスや歯間ブラシを使って、そうした隙間の汚れをしっかり落としてあげましょう。

    自分流の磨き方をしていると、どうしてもクセができてしまい、いつも同じ部分を磨き残してしまうおそれがあります。
    当院では、虫歯や歯周病の原因となる歯石を除去する際に、正しいブラッシング法も説明します。
    ぜひ、そうした機会に定期的にブラッシングの仕方を見なおしてください。

  • 原因その3「ストレス」
  • ストレス
    ストレスと虫歯は一見関係ないように思えるかもしれません。
    しかしある研究では、人間はストレスを感じていると、唾液の分泌が少なくなるという結果が報告されています。
    これは、唾液の分泌をうながす副交感神経という部分が、ストレスによってうまく働かなくなっているからです

    唾液は口内環境を整えてくれる働きがあります。
    歯が虫歯になるのは、糖分を細菌が分解するときに出る酸が原因ですが、唾液は酸を中和してくれます。
    ですから、ふだんは食べ物を食べても虫歯になりにくい環境が保たれているのです。
    しかし、ストレスで口内バランスが崩れると、虫歯になりやすい状態になります。

    ストレスを取り除くことは現代社会では難しいことです。
    ですから、ストレスをできる限り解消することをめざしましょう。
    例えば、休憩中にお茶を飲んで一息ついたり、リラックスタイムにノンシュガーガムを噛んだりすると、ストレス解消になるとともに、口内にうるおいを与えるので虫歯予防におすすめです。

フッ素塗布・シーラント

フッ素塗布 フッ素は歯質を強化する働きを持っており、フッ素を塗布することで虫歯の原因である酸に対して強い歯にしてくれます。お子様の虫歯予防として効果的です。
シーラント 生えたばかりの六歳臼歯には深い複雑な溝が多く、食べカスなどの汚れがたまりがちです。この溝を歯科用プラスチックによって埋める処置が「シーラント」。食べカスがたまりにくくなり、虫歯予防に効果的です。

虫歯の進行と治療方法

虫歯は進行状況によって治療法も異なります。
できるだけ早く虫歯を見つけて治療することが、痛みを少なくするために重要です。

進行 治療法
caries3 虫歯の状態:C1
痛みなどの自覚症状はありません。この段階では、歯の表面を覆っているエナメル質が少し溶けて黒い小さな穴が空きます。
この段階までに虫歯が見つかれば、痛みも少なく、歯を削る範囲も小さくて済みます。
caries4 虫歯の状態:C2
エナメル質を突き破り、象牙質まで虫歯が進行しています。
エナメル質とは違い象牙質はとてもやわらかい部分。
今までよりも急激に虫歯が進行するので注意が必要です。
飲食の際に、冷たいものや甘いもので歯がしみるようになるのもこの段階です。
虫歯に侵されている部分を削って、詰め物を入れる治療を行います。
caries5 虫歯の状態:C3
象牙質をさらに侵食し、歯の神経まで虫歯菌が届いています。
神経が炎症を起こし、何もしなくても歯にズキズキとした痛みがでるのが特徴です。
歯の神経を取り除く根管治療が必要になります。歯髄を取って被せものをする必要があります。
caries6 虫歯の状態:C4
歯の見えている部分がほとんど無くなってしまい、根だけ残った状態。
激しい痛みがありますが、神経が死んでしまうと今度は痛みを感じなくなります。
でも、症状が良くなったのではありません。
放置していると虫歯菌が血管を通って全身に広がるおそれがあります。
こうなってしまうと、抜歯して、インプラントや入れ歯による補綴(ほてつ)治療が必要です。ほとんどのケースで抜歯が必要になります。歯を抜いた際には入れ歯やインプラントなどで失った歯の機能を回復します

高齢者の虫歯治療

老人
虫歯は甘いお菓子が大好きな子どもたちに多いというイメージがあるかもしれません。
しかし、高齢者も口内環境によっては、虫歯になりやすい場合があります。
どんな環境かというと、歯ぐきが下がって根の部分が露出している状態。
歯の根の部分はエナメル質ではないので、虫歯の進行が早いのです。
しかも酸に対する抵抗力が弱く、虫歯菌によってすぐに溶かされてしまいます。

若いころと同じ口腔ケアをしていると、いつの間にか虫歯になってしまうということもあり得ることです。
年齢に応じたケアが必要ですから、口内環境が悪くなる前に、当院での予防歯科をおすすめします。

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